皆さんこんにちは。
今回は SR400 Final Edition のフロントブレーキパッド交換作業手順について解説していきます。

SR400のフロントブレーキは、2ポッドの片押し式ディスクブレーキを採用しています。この構造はシンプルで扱いやすい反面、ピストン側のブレーキパッドが片減りしやすい特徴があります。そのため、比較的早い段階でパッド交換が必要になる場合があります。

また、SR400純正ブレーキパッドはブレーキダストが発生しやすく、キャリパー内部やピストン周辺に汚れが蓄積しやすい傾向があります。この汚れを放置すると、ブレーキ鳴きやピストンの動作不良の原因となるため、ブレーキパッド交換時にはキャリパー清掃をあわせて行うとよいです。

本記事では、ブレーキパッド交換手順に加え、キャリパーの清掃・点検・グリスアップなど、交換時に行っておきたいメンテナンス作業についても詳しく解説します。

※ブレーキは重要保安部品のため、作業は必ず自己責任で行ってください。
整備に不安がある場合は、無理をせず専門業者へ依頼することをおすすめします。
本記事はサービスマニュアルおよび各種整備情報を参考にし、実際の作業をもとにまとめた備忘録です。

SR400ブレーキパッドの残量点検と交換目安

ブレーキパッドの使用限度

ブレーキパッドの使用限度は、ライニング残量 0.8mm です。
安全のため、使用限度に達する前の、残量2~3mmで交換することをおすすめします。

こちらはDaytonaの新品の赤パッドです。
このブレーキパッドは新品でライニングが5.5mm程度あります。

ブレーキパッドの残量点検方法

SR400のフロントブレーキパッドは、車体前方からキャリパーの隙間を覗き込むことで、分解せずにライニング残量を目視で確認することができます。

ブレーキパッド中央には、ウェアインジケーター(摩耗限界を示す溝)が設けられており、この溝の状態を見ることで摩耗の進み具合を確認できます。

  • 溝がはっきり確認できる状態 → まだ使用可能
  • 溝が浅くなっている状態 → 交換時期が近い
  • 溝が消えている状態 → 使用限度を超えている可能性が高いため、早急に交換が必要

基本はこのウェアインジケーター(摩耗限界を示す溝)が無くなる前に、ブレーキパッドを交換するようにしましょう。

使用限度を超えたまま走行すると、ブレーキディスクを傷める原因になるため注意してください。

ブレーキパッドの交換目安距離

SR400の場合、ブレーキパッドの交換目安距離は約5000km〜7000km程度です。

ただし、以下のような使用環境では摩耗が早く進む傾向があります。

  • 街乗り中心
  • ストップ&ゴーが多い
  • 峠道などブレーキ使用頻度が高い

このような条件では、より早く摩耗します。

距離だけで判断せず、定期的に目視点検を行うことが重要です。

準備する工具・用品

工具類

基本工具

  • トルクレンチ
  • ラチェットレンチ
    ソケット(8・12mm)
  • レンチ(8・12mm)
  • マイナスドライバー(シムやサポートの爪を外すのに使用)
  • グローブ
  • ウエス(汚れ対策)
【SR400整備初心者向け】まず揃えるべき工具リストまとめ こんにちは。 ヤマハ・SR400 は構造がシンプルで、自分で整備やカスタムをするほど愛着が深まっていくバイクです。 手をか...

ブレーキパッド交換メンテ工具

  • キャリパーピストンプライヤー
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  • キャリパーピストン押さえ工具
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  • ナイロンブラシや歯ブラシ等(清掃時に使用)
  • 容器(キャリパー清掃時に使用)

ケミカル類

  • グリス(お好みに応じて、ラバーグリスやシムグリス等)
  • ブレーキクリーナー、またはパーツクリーナー(パーツクリーナーはゴムゴム部品に対応したもの
  • 中性洗剤(食器用洗剤でOk)

交換推奨部品

  • ブレーキパッド(3LP-25805-00)
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  • キャリパーシム(4DN-25827-00)
  • パッドサポート(4BP-25919-00)
  • ブレーキパッドスプリング(アンチノイズスプリング)(3YX-25929-00)
  • フロントブレーキキャリパーボルト(サポートボルト)(5JW-25914-00)
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  • ブラケットのブーツ(4TT-25937-00)

SR400ブレーキパッド・キャリパーの分解作業手順

①センタースタンドで車体を安定させる

  • 平坦で安定した場所に車体を設置して、センタースタンドを立てて車体を安定させる

②ブレーキホースホルダーを取り外す

  • ブレーキホースホルダーを固定しているフランジボルト(8mm)を取り外す

③フロントブレーキキャリパーを取り外す

  • キャリパーがフリーになるため、取り外した際にブレーキホースへ無理な力が掛からないよう、事前に台などを用意しておく
    ※参考までに、筆者は高さ550mm程の椅子を使っています。
  • フロントブレーキキャリパーのサポートボルト(12mm)×2本を取り外す
  • ブレーキキャリパーを外して、ホースに無理な力がかからないよいう、事前に用意した台の上に置く

※現段階では、ブレーキレバーを握ったり、ピストンを押し戻したりしないでください。

  • ピストンを出しすぎると外れてしまい、ブレーキフルード漏れやシール交換が必要になる場合があります。
  • 無理にピストンを押し戻すと、ダストや異物によりシールを傷める可能性があります。

④ブレーキパッドを取り外す

  • ブレーキパッドを取り外す
    ピストン側と反対側を、それぞれ手前と奥にずらすように動かすことで、ブレーキパッドを取り外すことができます
  • ブレーキパッドからキャリパーシムをそれぞれ取り外す
    シムの爪をマイナスドライバーなどで外すと楽に取り外せる

    (筆者の車両では、なぜか片方しか装着されていませんでした。以前お店で交換してもらったときに、片方は処分されてしまったのかもしれません…)
  • このタイミングで、ブレーキパッドのライニング残量を確認し、使用限度を超えている場合は交換してください。

⑤(任意)フロントキャリパーブラケットを取り外す

(任意)ブラケット部もしっかり清掃したい方はキャリパーブラケットを取り外すと良い

  • フロントキャリパーブラケットを固定しているフランジボルト(12mm)×2本を取り外す

⑥パッドサポートやブーツを取り外す

  • キャリパーブラケットからパッドサポート×2個を取り外します。
    無理な力を加えないよう注意ツメの部分をマイナスドライバーなどで軽くこじると外しやすい
  • スライドピン部のブーツも取り外し、無くさないよう保管すること
    ブーツにひび割れや破損があれば新品に交換

これでブレーキパッドとキャリパーの簡易的な分解は完了です。

SR400ブレーキパッド・キャリパー清掃メンテナンス

ブレーキパッド類が外れたら、この機会にそれぞれのパーツの点検・交換・清掃を行っておきます。それぞれメンテナンスが終わったら、グリスアップをして取付けという流れになります。

各部の清掃

ブレーキキャリパー

  • キャリパー本体は、水と中性洗剤、またはブレーキクリーナーやパーツクリーナー(ゴム対応)を使用し、ブラシで全体を洗浄します。
  • ピストン部分は、キャリパーピストンプライヤーを使用して回転させながら清掃します。

洗浄の段階では、無理に押し込んだり引き出したりしないよう注意してください。
洗浄後は、ピストン表面に錆がないか確認します。錆がある場合はピストン交換が必要です。

  • ピストン洗浄後、をディスクブレーキセパレーター等で押し込みます
    (おすすめはしませんが、ピストンやシールが正常な状態であれば、専用工具が無くても手で押し込むことが可能です)
  • このタイミングでブレーキパッドスプリング(アンチノイズスプリング)を取り外すことができます。任意の作業ですが、清掃や交換を行う場合はここで取り外しておきましょう。
    爪の部分をマイナスドライバーなどで起こすように取り外すとよい無理に手で外そうとすると、変形して交換になるため注意
  • このタイミングで再度、ピストンやスプリング周辺の洗い残しを再度清掃しておくとよいでしょう。

キャリパーブラケット

中性洗剤または、ブレーキクリーナーやパーツクリーナーで洗浄し、汚れや古いグリスを除去します。
特にスライドピンが入る穴の内部は古いグリスが溜まりやすいため、重点的に清掃してください。

ブレーキパッド

再使用する場合は中性洗剤で水洗いするか、ブレーキクリーナーまたはゴム部品対応のパーツクリーナーを使用し、付着したブレーキダストを除去します。

清掃後は必ずしっかりと乾燥させてください。油分や水分が残っていると、ブレーキ鳴きの原因になる可能性があります。

シム・ブレーキサポート・ブレーキパッドスプリング

ブレーキクリーナーやパーツクリーナーを使用して、古いグリスやブレーキダストをしっかり清掃します。

ゴムブーツ

ブレーキクリーナーやパーツクリーナー(ゴム対応)で洗浄し、汚れや古いグリスを除去します。

キャリパーボルト(サポートボルト)

パーツクリーナーを使用し、古いグリスや汚れを除去します。スライド部の清掃は、キャリパーの正常な動作に重要です。

各部の点検

ブレーキキャリパー

フルード漏れ、ピストンの錆、動作不良がないか確認します。異常がある場合は、ピストンやシール交換、キャリパーオーバーホールを検討してください。キャリパー本体に損傷がある場合はAssy交換が必要です。

ピストン動作の点検

ブレーキレバーを握り、ピストンの動きを確認します。
ブレーキレバーを放したときに、ピストンがわずかに戻る動きがあれば正常です。

多くの場合は、どちらか片方のピストンだけが動きます。もう片方のピストンが動かない場合は、動いている側のピストンを軽く手で押さえた状態でブレーキレバーを握ると、動きを確認しやすくなります。

ピストンを出し過ぎないよう注意してください。
出し過ぎによりピストンが外れてしまった場合、Oリングの交換やブレーキフルードの補充、エア抜き作業などが必要になります。

ピストンがある程度出てきたら、再度押し戻してください

ピストンに錆がある場合や動作不良がある場合は、簡易清掃では対応できないため、ピストンやシールの交換キャリパーオーバーホールを検討してください。

ブレーキパッド

ライニング使用限度は 0.8mm です。規定値以下の場合は必ず左右セットで交換してください。使用限度に達していなくても、残量が2~3mm程度で交換するのが一般的です。早めの交換をおすすめします。

キャリパーブラケット・スプリング・シム類

亀裂、変形、錆、破損がある場合は新品交換を推奨します。

キャリパーボルト(サポートボルト)

錆や摩耗がある場合は交換してください。スライド部の状態はキャリパーの動作に大きく影響します。

取付け前のグリスアップ

組付け前に各部へ適切にグリスアップを行うことで、キャリパーのスムーズな動作を維持し、ブレーキ鳴きや固着の防止につながります。

ブレーキキャリパーピストン

防錆のため、ピストンの表面と内側、シムとの接触部にシリコングリスを薄く塗布します
キャリパーピストンプライヤーを使用して、ピストン全体に塗ること。その後、ピストンを数回出し入れし、動作をなじませます。
※ピストンを出し過ぎないよう注意してください。

キャリパーブラケット

スライドピンが入る穴の内部シリコングリスを塗布します。
キャリパーをスムーズにスライドさせるために重要な部分です。

サポートボルト(必須)

スライドピンのストレート部分シリコングリスを塗布します。
ネジ山にはグリスを付着させないよう注意してください。

ブレーキパッド(任意)

音鳴り防止のためシムが接触するパッド裏面およびパッドサポート接触部に、ラバーグリスまたはシリコングリスを薄く塗布します。

ライニング面には絶対にグリスを付けないでください。制動力低下の原因になります。ライニング面にグリスが付着した際は、必ず再度洗浄を行ってください。

パッドサポート・シム・ゴムブーツ

  • シム(任意)
    こちらも音鳴り防止のため、ブレーキパッド接触面と、ピストンやサポートの接触面に薄く塗布
  • パッドサポート(任意)
    ブレーキパッドの接触面に薄くラバーグリスやシリコングリスを塗布する
  • ゴムブーツ×2
    劣化防止もかねて、シリコングリスを内部や外部に薄く塗布しておくとよい

SR400ブレーキパッド・キャリパーの取付け作業手順

①各部品を組付ける

  • パッドサポート×2キャリパーブラケットへ取り付ける
  • ゴムブーツキャリパーブラケットに取り付ける
  • ブレーキパッドスプリングブレーキキャリパーキャリパーへ取り付ける
  • シムブレーキパッドにセットする

②キャリパーブラケットを車体に仮付け

  • キャリパーブラケットフランジボルト(12mm)×2本で仮固定する
    この段階では、まだ軽く手締め程度で問題ありません(後で位置決めを行うため)。

③ブレーキパッドをセット

  • ブレーキパッドを、キャリパーブラケットにセットする
    このときハンドルを左右に切っていると、ブレーキパッドが落ちてしまうことがあります。ハンドルは真っすぐにして作業するとよいでしょう。

④ブレーキキャリパーを取り付ける

  • ブレーキキャリパー本体をキャリパーブラケットにセットし、サポートボルト(12mm)×2本を規定トルクで締め付ける
    規定トルク:27Nm
  • キャリパーブラケットをタイヤの回転方向に当たる位置に合わせながら、ブレーキキャリパーボルト(14mm)×2本仮締めする
    ※この後、ブレーキ操作によって位置決めを行うため、この段階では強く締め込まず、軽く締める程度にしておきます。
  • ピストンを押し戻し、ブレーキパッドがディスクから離れているため、そのままではブレーキが利かない状態ブレーキレバーを数回握り、レバーに通常通りの抵抗が出るまで繰り返す

  • その後、車体を前進させつつブレーキを掛ける動作を2~3回繰り返し、ブレーキキャリパーの位置出しを行う
  • 最後にフランジボルト(12mm)×2本規定トルクで本締めします。
    規定トルク:40Nm

⑤ブレーキホースホルダーを固定する

  • ブレーキホースホルダーをフランジボルト(8mm)で規定トルク締め付ける
    規定トルク:10Nm

⑥最終確認

  • 各固定ボルトの締め忘れがないか
  • ブレーキが正常に作動するか
  • ブレーキの引きずりがないか
  • ブレーキフルードの滲みがないか
  • 低速で試走し、異音や違和感がないか

問題が無ければ、SR400のブレーキパッド交換メンテ作業完了です

まとめ

ということでSR400 Final Edition のフロントブレーキパッド交換作業手順を解説してきました。

作業の注意点としては、

  • ブレーキパッドのライニングにグリスを付着させない
  • キャリパー取り外し後は、ピストンを出しすぎない
  • ブレーキキャリパーボルトのストレート部分のグリスは忘れない
  • ボルトは規定トルクで締めつける

といったことに注意して作業すればさほど難しい作業ではありません。
しかしブレーキ関連のメンテナンスは一つのミスが事故につながる危険性のあるものですので、整備に自身の無い方は無理せずにプロに依頼することをおすすめします。

SR400純正のブレーキパッドは、ブレーキダストが出やすいこともあり、ブレーキキャリパー周辺が汚れやすいです。

ブレーキパッドも様々なメーカーから出ていますので、お好みのパッドを試してみても面白いかもしれません。

SR400ライフの助けになれれば幸いです。