皆さんこんにちは。
今回は SR400 Final Edition のスロットルワイヤーケーブル交換手順について解説していきます。

SR400は、スロットル操作をワイヤーケーブルでエンジンに伝えるシンプルな構造を採用しています。
ワイヤー内部はグリスで潤滑されていますが、長期間使用するとグリス切れや摩耗が進行し、スロットルの動きが重くなったり、ワイヤーのほつれ・断線につながることがあります

症状が進行すると、走行中にワイヤーが切れてしまう危険性もあるため注意が必要です。

なお、今回の作業は燃料タンクの取り外しが必要となるため、難易度はやや高めです。
整備に自信がない方や初心者の方は、無理せずプロに依頼することをおすすめします。

あくまで自己責任となりますが、チャレンジしたい方はぜひ参考に作業を行ってみてください。

■ スロットルワイヤー交換・メンテナンスの必要性

次のような症状が見られる場合は、点検やメンテナンスを行いましょう。

  • スロットルの動きが重い、戻りが悪い
  • ワイヤーにほつれやサビがある
  • 長期間スロットルワイヤーのメンテナンスをしていない

状態に応じて、グリスアップまたはワイヤー交換を行うことで、SR400を安全かつ快適に楽しむことができます。

※ グリスアップのみの作業については、別記事で詳しく解説しています。
https://ezomemo-blog.com/sr400-throttletube-%ef%bd%97irecable-lubrication/

■ 準備する工具・用品

● 工具類

  • トルクレンチ
  • ラチェットレンチ
  • レンチ(12mm)
  • ソケット(12mm)
  • オープンスパナ(10mm・13mm)
  • プラスドライバー
  • コンプレッサー&エアガン(清掃用)
  • 養生テープ
  • ビニールの袋(ワイヤールブを注油するのに使用。数枚用意しておくとよい)
  • グローブ、ウエス

● ケミカル類

  • ワイヤールブ
    ※ チェーンルブでも代用可能(粘度が高すぎるとスロットルが重くなるので注意)
  • グリス
     ※スロットルチューブ用。粘度の高くないものを推奨
  • パーツクリーナー

● 交換推奨部品

■ SR400 スロットルワイヤーケーブル取り外し手順

① 車体を安定させる

  • 平坦で安全な場所に車体を置き、センタースタンドを立てます。

② 燃料タンクを取り外す

  • 燃料タンクを取り外す。それに伴い、シートおよび左サイドカバーも取り外す。
    ※FIモデルのSR400はホース類の取り回しが複雑なため、作業難易度は高めです。
  • 脱着方法は別記事で詳しく解説しています。
    https://ezomemo-blog.com/sr400-fueltank-installation-removal/

③ ワイヤーケーブルの取り回しを記録

  • ワイヤーの取り回しを写真で記録しておく
    ハンドル側も車体右側も念入りに写真を撮って、復元できるようにしておく
  • 取り回しを間違えると、スロットルの引っ掛かりや事故につながる恐れあり

必ず元の取り回しに戻せるようにしておきましょう。

④ クランプを取り外す

  • プラスドライバーを使用し、スロットルワイヤーケーブルをフレームに固定しているクランプを取り外す
  • クランプにはアースリード線が共締めされているため、取り付け時に忘れず元どおり共締めする
  • 固定にはワッシャー付きのプラスネジが使用されているので、紛失しないよう外した部品はまとめて保管しておく

⑤ スロットルボディ側のワイヤーを取り外す

  • 戻し側(車体前側)/引き側(車体後側)を位置関係を確認する
    取付けの際に間違えないよう写真を取っておくと安心
  • 10mmオープンスパナを使用し、戻し側/引き側それぞれのケーブルホルダーにあるロックナット(10mm)を緩めます。
  • 回り止めの影響でスパナが入りにくい場合は、先にアジャスティングナット(10mm)を緩めてから、ロックナットを緩めてください。
  • ロックナットが緩んだら、ケーブルをケーブルホルダーからずらしておく
  • ワイヤーのエンド部(タイコ部)スロットルボディから外す
  • 戻し側引き側両方のワイヤーが取り外しておく

⑥ スロットルホルダー側の取り外し

  • スロットルホルダー側も当然、戻し側引き側のケーブルが接続されている。
    取付け時に逆に取りつけないよう、事前に目印をつけて写真を撮っておくと安心
  • 13mmオープンスパナ中空ボルト(引き側・戻し側両方)を取り外す
  • スロットルホルダー固定スクリュー×2本を外す
    初回は固く、ネジ頭をなめやすいので注意。押す力:回す力=7:3 が理想
    ネジは無くさないよう保管しておくこと
  • スロットルホルダーは上下に分かれる。断線の危険があるので、無理にこじらず慎重に分解する
  • 白いスロットルチューブが見えるので、引き側・戻し側のワイヤーエンド部(タイコ部)を取り外す

⑦ ワイヤーケーブルを取り外す

  • フレームやメーターに傷が付かないように、ワイヤーケーブルの先端のナット類を養生テープで保護しておく
  • ハンドル側から上へ引き抜く
  • 引き側・戻し側ともに取り外す

これでスロットルワイヤーケーブルの取り外しは完了です。

■ スロットルワイヤーケーブルのグリスアップ

取付け前準備として、各所のグリスアップを行っておきましょう。

新品のワイヤーケーブルでもグリス量は十分とは限らないため、取り付け前に注油しておきましょう。事前にグリスアップすることで、ワイヤーケーブルの寿命を延ばすことができます

また、スロットルホルダーを分解しているこの機会に、スロットルチューブもグリスアップしておくと、スロットル操作がよりスムーズになります。

スロットルチューブのグリスアップ

  • スロットルチューブをハンドルから抜き取る
  • スロットルチューブ内部ケーブルエンドの取り付け部パーツクリーナーで清掃
  • ハンドル側も同様に清掃
  • ハンドルに薄くグリスアップ
     ※粘度の高いグリスを使用するとスロットルが重くなるのでNG
  • スロットルチューブとスロットルボディのワイヤーエンド部取り付け部ワイヤー溝にも軽くグリスを塗布
  • スロットルチューブをハンドルへ戻す

スロットルワイヤーの注油

SR400のスロットルワイヤーは形状の都合上、一般的なワイヤーインジェクターが使用できません

ワイヤーとアウターの隙間から直接スプレーして注油する力技な方法もありますが、確実にオイルを通すにはビニール袋を使った方法がおすすめです。

ただし、この方法は 粘度の低いケーブルルブやチェーンオイルのみ使用可能 なので注意しましょう。

ビニール袋を使った洗浄手順

●事前準備
  • ビニール袋の角を一か所、ワイヤーを通すために小さく切り込みを入れる
  • 切り込み部分からハンドル側のワイヤー端を通す
  • 隙間ができないよう、養生テープでしっかり固定する
    ※オイル漏れ防止のため、できるだけきつめに固定しておく
  • ワイヤーケーブルを、ハンドル側を上、スロットルボディー側を下にした状態でつるし、スロットルボディー側をウエスで養生します。
    (画像は参考程度に…)
    その他、周囲にオイルや洗浄液が飛散しないよう、作業環境を整えておく
●注油作業
  • ビニール袋の中にワイヤールブ(チェーンオイル)をスプレーして溜める
  • ワイヤーをストロークさせると、ケーブル内部のルブが行き渡りやすくなり、より効果的です。
    パーツクリーナーと同様に、反対側(スロットルボディ側)からルブが出てくるまで注油を続ける
  • ワイヤールブが反対側から確認できたら、ケーブル内部への注油完了です。

    引き側・戻り側両方のワイヤーケーブルも同様に注油作業を行いましょう。

■ SR400 スロットルワイヤーケーブル取り付け手順

① ワイヤーを車体に通す

  • 車体に通す前に、フレームやメーターに傷が付かないように、ワイヤーケーブルの先端のナット類を養生テープで保護しておく
  • 事前に撮影しておいた写真を確認し、取り回しを間違えないようにワイヤーケーブルを車体に通す

② スロットルチューブにワイヤーを取り付け

  • 引き側・戻し側を間違えないよう注意
  • スロットルホルダー下部分に引き側・戻し側それぞれのワイヤーのエンド部分を通す
  • スロットルホルダー下部分をセットして、スロットルチューブのにワイヤーを沿わせ、タイコを確実に溝へセットする

③ スロットルホルダーを取り付け

  • スロットルホルダーを上下で合わせる
    ※配線を噛んでいないか必ず確認
  • ミラー取付ステー側へ寄せる
  • +スクリュー2本を規定トルクで締め付け。規定トルク:3.5N·m
    ※ネジをなめさせないよう注意
  • 中空ボルト(13mm)を引き側・戻し側ともに締め付け
    ※規定トルク不明のため一般的な締め付けで対応

④ フレームに沿わせて取り回しを整える

  • 再度、事前に撮影した写真を参考に、スロットルボディーまでのワイヤーケーブルの取りまわしを確認する。
  • 無理な取り回しで取り付けると、操作不良を起こし、最悪の場合は事故につながる危険がある
    できるだけ無理な力がかからないよう、元通りの自然な取り回しになるよう意識して車体に通す

⑤ スロットルボディ側を取り付け

  • 引き側・戻し側を間違えないよう注意
  • 引き側と戻り側それぞれ、ワイヤーを溝に沿わせて、エンド部(タイコ部)を確実にセット
  • ケーブルホルダージャスター部分をセットする

⑤ クランプを取り付ける

  • ワイヤーケーブルクランプをセットする
  • クランプにはアースリード線が共締めされているため、取り付け時に忘れず元どおり共締めする
  • プラスドライバーを使用して、ワッシャー付きのプラスネジで取り付ける。
    サービスマニュアルに締め付けトルクの記載がないため、一般的な締め付けトルクを目安に作業してください。

⑥ スロットルの遊び調整

  • このタイミングでスロットルの遊び調整を行っておくとよいです。
    (タンクやシートを取り付けた後でも調整は可能ですが、トラブルが発生した場合に再度取り外す手間を考えると、この段階で行っておくと安心です。)
  • SR400のスロットルの遊び量規定値:3.00~6.00mm
  • 必ず適正範囲に調整

※ 調整方法は別記事参照
https://ezomemo-blog.com/sr400-throttlegrip-freeplay-adjustment/

⑥ 取り外したパーツを取り付ける

⑥ 最終確認(重要)

スロットルの遊び調整完了後、最終確認を必ず行います。

  • ハンドル左右最大まで動かして、ワイヤーの突っ張り・引っかかりがないか
  • スロットルを回したときの抵抗の有無、放したときのスムーズな戻り
  • エンジン始動後、アイドリング回転数(1000〜1500rpm)が安定しているか
  • スロットル操作に応じて回転が自然に上がるか
  • 作業後の操作感や異音の有無

問題がなければ作業完了です。

まとめ

今回は、SR400のスロットルワイヤーケーブル交換手順について解説しました。

スロットルは走行中常に操作する重要な部位ですが、劣化に気づきにくい部分でもあります。
定期的なグリスアップや注油を行うことで、操作性と安全性を長く維持することができます。

別記事ではスロットルチューブ・ワイヤーの注油方法も解説していますので、ぜひ日々のSR400メンテナンスに役立ててください。

それでは、楽しいSR400ライフを。