皆さんこんにちは。ToriShiraです。
今回は SR400のドライブチェーン交換 について、交換の目安や実際の交換手順をわかりやすく解説していきます。
バイクにとってチェーンは、エンジンの力をダイレクトに後輪へ伝える重要な部品です。いわば「走る・曲がる・止まる」という基本動作すべてに関わる存在で、状態が悪化すると走行性能に大きな影響を及ぼします。
チェーンが伸びたり固着したまま放置すると、
- 燃費の悪化
- 加速時のもたつきや違和感
- スプロケットの偏摩耗
- 最悪の場合は走行中のチェーン切れによる重大事故
といったリスクにつながります。特に「走行中にチェーンが切れる」ケースは非常に危険で、転倒や後続車を巻き込む大事故に発展しかねません。
一方で、定期的な 洗浄・注油・張りの調整といった基本的なメンテナンスをしてあげれば寿命を延ばすことができ、安全に長くバイクを楽しめます。つまり、日頃の点検と必要に応じた交換は欠かせないということです。
この記事では、
- チェーン交換の目安
- 実際の交換手順
を順に解説します。DIYで挑戦したい方はぜひ参考にしてみてください。
⚠️ 注意:チェーン交換は正確さが求められる作業です。誤った取り付けや調整不良は大事故の原因になります。工具や知識に不安がある方は、無理をせずプロに依頼するのも大切な選択肢です。
SR400チェーンの交換目安
SR400のチェーン交換は、一般的に 15,000km~20,000km が目安とされています。
ただしこれはあくまで基準であり、
- 走行環境(雨天やオフロードが多いか)
- 普段のメンテナンス(洗浄・注油の頻度)
によって寿命は大きく変わります。
チェーン交換の判断ポイント
目視チェック
- 錆が広がっていないか
- コマ(リンク)の並びが均一で、曲がっていないか
- チェーンのシール部分の破けがないか
動作チェック
- 手で上下に動かしたとき、スムーズに動くか
- コマが固着して折れ曲がったようになっていないか
- 動きに強い抵抗がないか
これらに当てはまる異常があれば交換のサインです。
メンテナンスで延命できる場合
まだ動きがスムーズで錆が軽度なら、
- チェーンクリーナーで洗浄
- 専用チェーンオイルを塗布
といった基本メンテナンスで寿命を延ばせます。特に雨天走行や長距離後はオイル切れになりやすいため、注油だけでも定期的に行うと安心です。
ただし「伸びが限界」「固着が多い」「錆が広範囲」といった場合は、迷わず交換しましょう。
チェーン交換に必要なもの

- チェーンカット&カシメ ツールキット(チェーンのカット・圧入・カシメに使用)
- 新しいチェーン(SR400純正:428サイズ・130リンクのシールチェーン)
- トルクレンチ アクスルナットは130Nmや他16Nmなどありますので大小二種類用意しておきましょう。(規定トルクでボルトを締める必須アイテム)
- ソケットレンチ(ボルトを緩めたり、仮締めするのに使用)
- ソケット(アクスルナット22㎜、テンションバー12㎜)
- レンチ(10㎜・12㎜・22㎜)
- ノギス(カシメ幅の確認用)
- 結束バンド(新旧チェーンを繋ぐ用:幅4㎜以内くらいが良い)
- 金尺(チェーンのたわみ測定やブレーキ調整に使用)
- ヤスリ(古いチェーンを切るときにピンを削る)
SR400チェーン交換手順
ここからはSR400のチェーンを実際に交換する手順を解説します。作業は後輪を浮かせて行うため、必ず平坦で安定した場所を選び、安全を確保したうえで進めましょう。
① バイクを安定させる

- センタースタンドを立て、後輪を浮かせる
- ギアは必ずニュートラルに
② チェーンを緩めておく
交換自体は緩めなくても可能ですが、古いチェーンが伸びていると新しいチェーンが張りすぎてジョイントしにくくなるため、先に以下を緩めておきましょう。
- A. ホイールアクスルナット
- B. テンションバーナット
- C. ブレーキロッドアジャスティングナット
- D.アジャスティングボルトロックナット


そしてチェーン調整用のE.アジャスティングボルトを緩め、チェーンの張りを緩くしておきます。
外すのではなく、基本緩めるだけでOKです。
チェーンのたわみが規定値(30㎜~40㎜)よりも大きくなる程度でOKです。
③ 古いチェーンを切断する
- ジョイント部分のピンの片側をヤスリやサンダーで、チェーンプレートの表面とピンの先端が面一になるくらいまで削る(柔らかい金属なので容易に削れます)
- その後、チェーンカッターを使ってピンを押し出し、チェーンを切断します。




必ずそれぞれの説明書を読み、適切な使用方法で作業を行ってください。


④ 新しいチェーンを通す

SR400純正チェーンは 428サイズ・130リンク が基本です。交換前に必ずリンク数を確認してください。間違えると適切な張り調整ができなくなります。
- 古いチェーンの端と新しいチェーンの端を結束バンドで繋ぐ
- リアタイヤを回して古いチェーンを引き抜くと、新しいチェーンがそのままフロント側に通ります
- 全部通し終えたら結束バンドを外す

チェーンに地面の砂や汚れがつかないよう、段ボールなどを引いて作業しましょう。

⑤ ジョイントリンクの取り付け
- ジョイントリンクとOリングにグリスを塗布
- 新しいチェーンをスプロケットに掛け、両端をリアスプロケット付近で合わせる
- ジョイントリンクとOリングにグリスを塗り、
プレート → Oリング → ブッシュ → Oリング → プレート
の順で正しく組み付けます - 特にOリングの入れ忘れに注意してください。


⑥ プレート圧入とピンのカシメ
- スプロケットの位置から、作業のしやすい場所にジョイントリンクを移動させる
- ツールキットでプレートを圧入し、前後のプレートと同じ高さにする(私の場合はノギスで前後のチェーンの幅と同じになるまで圧入しました)
- 専用工具でピンをカシメ、ノギスで外径を確認する(DIDの428VXシリーズチェーンの場合カシメサイズは5.2㎜以上です。)

チェーン圧入工具で圧入します。必ず圧入工具の説明書を読み正しい使い方で行ってください。

※圧入しすぎると簡単には元に戻せなくなります



圧入やカシメをし過ぎないよう、少し締めて→確認→少し締めて→確認…と、慎重に作業を行ってください。
チェーンのプレート圧入とカシメ作業はチェーンの強度を決める最重要工程。締めすぎると、チェーンの動きが悪くなり、不十分だと走行中に外れる危険があります。正確に行いましょう。
⑦ チェーンの動作確認
- 後輪を回し、スムーズチェーンが回転するか確認
- 引っ掛かりや固着がないかもチェック
⑧チェーンの張り調整
最後に仕上げとして、チェーンの張り調整を行います。
SR400のドライブチェーンのたわみ量は30~40mm が基準値です。この範囲内に収まるように調整することが大切です。
もし基準から外れてしまうと、以下のようなトラブルの原因になります。
- 張りすぎ … エンジンやホイールベアリングに余計な負担がかかり、寿命を縮めてしまう。
- 緩すぎ … チェーンが暴れて外れる危険性や、スイングアームに干渉して損傷させるリスクがある。

調整方法
※手順②のA・B・C・Dのボルトとナットが緩んでいる状態を確認してください。
- チェーン側のE.アジャスティングボルトを回し、たわみ量を基準値(30㎜~40㎜)に調整。
- チェーンのたわみ量を調整したら、反対側のアジャスティングボルトを均等に調整。(スイングアームのメモリを確認しながら)
- メモリを対象にした後、再度チェーンのたわみ量を確認。
さらに、リアタイヤを回してみて違和感なく回ることを確認。 - 規定トルクで締め付け
・A. ホイールアクスルナット:130Nm
・B. テンションバーナット:19Nm
・D.アジャスティングボルトロックナット:16Nm - 最後にC. ブレーキロッドアジャスティングナットを締め込んでいき、リアブレーキの遊びを 20~30mm に再調整してください。





とも回りしないようになったら、ドライバーを外してトルクで締めましょう。(ドライバーを刺したままトルクで締め込むと、ドライバーが抜けなくなります。)


最後にはリアのブレーキペダルの遊びが変わります。ブレーキの引きずりや遊びが多すぎてブレーキを使えないなど、そのまま走行すると大変危険ですので忘れずにリアブレーキの調整を行いましょう。

⑨ 最終確認・試運転
- 後輪を回してスムーズに回るか確認
- 実際に低速で試走し、異音や違和感がないか確認
問題なければ作業完了です。
まとめ
今回は SR400のチェーン交換の目安と手順 を解説しました。
チェーン交換はバイク整備の中でも特に安全に直結する重要な作業です。慣れていない方や工具が揃っていない方は、無理をせずショップに依頼しましょう。
ただし、正しい知識と手順を守ればDIYでも十分対応可能です。自分の手で整備したバイクで走るのは愛着も増し、バイクライフをより楽しめます。
最後にもう一度、チェーンを長持ちさせるポイントを整理すると――
- 定期的な洗浄
- 適切な注油
- 正しい張り調整
この3つを意識するだけで寿命は大きく変わります。
ぜひ普段からチェーンの状態を気にかけて、安全で快適な走りを楽しんでください。