メンテナンス

SR400 オイル交換手順|初心者でも安心の完全ガイド

皆さんこんにちは。
今回はヤマハSR400のオイル交換について、初心者の方にも分かりやすいように、手順を丁寧にまとめてみました。

SR400はシンプルな構造を持ち、整備性に優れているバイクとして有名です。しかし、エンジンは空冷単気筒という特性上、オイルの状態が走りや寿命に大きく影響します。オイル交換を怠ると、エンジン内部の摩耗や焼き付きにつながる可能性もあるため、定期的なメンテナンスは欠かせません。

「オイル交換は難しそう…」と感じる方も多いと思いますが、実際は手順をきちんと守ればそれほど複雑な作業ではありません。自分で交換できるようになれば、愛車に対する理解も深まり、整備を楽しむきっかけにもなります。この記事では、初心者でも安心して挑戦できるよう、注意点やコツを交えながら解説していきます。

ただし、整備作業にはトルク管理や工具の扱いといった基本的な知識が必要です。不安がある場合は、無理をせずバイクショップに依頼しましょう。

なぜオイル交換が大切なのか?

エンジンオイルには次のような役割があります。

  • 潤滑:金属同士の摩耗を防ぐ
  • 冷却:エンジン内部の熱を逃がす
  • 清浄:不純物や汚れを取り込む
  • 密封:燃焼室の気密を保つ
  • 防錆:内部を錆から守る

特にSR400は水冷ではなく空冷エンジンなので、走行中はオイルにかかる負担がとても大きいです。オイルが劣化すると、エンジン内部の潤滑が不十分になり、カムやピストンが摩耗してしまう恐れもあります。

そのため、交換の目安は3,000〜5,000kmごと。走行環境(街乗り・ツーリング・峠走行など)によっては、さらに短いスパンで交換しても良いです。

そして、SR400は「ドライサンプ方式」を採用しており、エンジン下部とフレーム側にそれぞれオイルタンクを持つ構造になっています。そのため、オイルを抜く際はドレンボルトが2か所ある点が特徴です。しかし、基本的な作業は一般的なウエットサンプと一緒です。

オイル交換に必要な道具

オイル交換は「事前の準備」が9割です。必要なものを揃えてから作業を始めましょう。

基本的に必要なもの

  • エンジンオイル(推奨粘度:10W-40 4ストローク用バイクオイル
  • オイル受けや廃油処理箱(ドレンボルトが2個あるので、オイル受けも2個あるとスムーズに作業できます)
  • ドレンワッシャー(2種類。基本新品に交換することを推奨)
  • オイルジョッキ
  • トルクレンチ(規定トルク管理用)
  • ソケットレンチ(ボルトを緩めたり、仮締めするのに使用)
  • ソケットまたはメガネレンチ(10mm・17mm)
  • オイル用シリンジ(入れすぎた時の調整用)

フィルター交換も行う場合

  • オイルフィルター(純正または互換品)
  • Oリング(大小2個。フィルターセットに含まれることが多い)
  • ドレンワッシャー(エアブリードボルト用)
  • 六角レンチ(6mm)
  • プラスドライバーまたは8mmレンチ

SR400オイル交換の手順

1. バイクを安定させる

平坦な場所に停め、センタースタンドを立てます。

2. オイルを温める

数分アイドリングしてオイルを温めます。
冷たいままだと抜けにくいので、人肌程度(20〜30℃)にすると排出がスムーズ
熱くしすぎると火傷の恐れがあるので注意。

3. 養生をする

フレーム下部のドレンから勢いよくオイルが飛び出すので、段ボール・ウエス・テープで周辺を養生しましょう。タイヤやブレーキに付着すると非常に危険です。
フィルター交換時は、エンジン下やエキパイにオイルが垂れるのでこちらも保護必須。

さらに、作業時にはハンドルを左に切っておくと、オイルが抜く際に前輪やフェンダーに付着するのを防ぐことができます。

4. フィラーキャップとエアブリードボルトを緩める

排出をスムーズにするために、フィラーキャップ(レベルゲージ)とフィルターカバー上のエアブリードボルトを緩めておきます。
※外さずに緩めるだけで大丈夫です

こちらがエアーブリードボルトです。緩めるだけでオイルを抜きやすくなります。

5. ドレンボルトを外してオイルを抜く

  1. 廃油受けを車体下に設置し、ドレンボルト(タンク側)を外してオイルを抜く。
  2. 続いて、クランクケース側のドレンボルトを外してオイルを抜く。
このように勢いよくオイルが出てくるので養生は欠かせません
エンジン下部にある、ドレンボルト。位置が低く作業がしにくいですが、レンチがしっかりボルトにはまっているか必ず目視で確認しながら緩めてください。

6. フィルターを交換する場合

  • フィルターカバーの3点あるうちの、下側ボルトを外し、フィルターボックス内のオイルを抜く。
    ※オイルが、垂れるためカバーはしっかりしておく  
  • フィルターカバーを外し、オイルフィルターを取り出して、フィルターボックス内部とカバーを清掃。
まずは下のボルトを外します。
オイルが出たら、残りの二つのボルトを外し、フィルターカバーを外します。
オイルフィルターも外します。フィルターの向きを覚えておきましょう。
フィルターボックス内のオイルや汚れをウエスなどでふき取る
Oリングは爪楊枝を使うと取りやすいです。
フィルターカバーもパーツクリーナーなどで洗浄しておきましょう
3本のボルトは下だけ長さが短いことも覚えておきましょう
この際にエアーブリードボルトのワッシャーを新しいものに交換する(状態が良ければ交換しなくていいかもですが、原則交換です。)

洗浄が終わったら、新しいOリングやフィルターを取り付けます。

  • 新しいフィルターのゴム部分とOリング(大小)にオイルを塗布。
  • エレメントを正しい向きで組み込み、カバーを規定トルクで締め付け。
    ※エレメントの向きと、Oリングの入れ忘れに注意しましょう
今回はDaytonaのsr400のオイル交換キットを使用しています。
オイルフィルターをボックス内に入れます
※向き注意!
その後フィルターカバーを取り付けます
規定トルクでボルトを締め付けます。

規定トルク:

  • エアブリードボルト:5Nm
  • フィルターカバーボルト:10Nm

※エアーブリードボルトはフィルターカバーのネジの山がなめやすいので個人的には手で軽く締める程度で良いと思います。舐めるとフィルターカバー丸ごとの交換になります。

7. ドレンボルトを締める

新品ワッシャーを使用し、規定トルクで締め付け。

  • ドレンボルト(オイルタンク側):16Nm
  • ドレンボルト(クランクケース側):30Nm
  • エアブリードボルト:5Nm
こちらは個人的には手で軽く締める程度でよいと思います

全てのボルトの締め忘れの無いよう再確認してください。

8. 新しいオイルを入れて量を確認する

  • オイル量の目安
    フィルター交換なし:2.0L
    フィルター交換あり:2.1L

フィラーキャップを開け、オイルジョッキでゆっくり注ぎ入れます。注入後はキャップをしっかり締めましょう。

こぼれないよう慎重にゆっくり作業しましょう

9.オイルレベルの確認

  • エンジンを2〜3分かけアイドリングする
  • オイルレベルゲージで油量を再確認
    ゲージは「ねじ込まずに差し込む」状態で測定
  • 目安はEとFの中間
測定時はゲージをねじ込まずに差し込み、E(下限)とF(上限)の間にあるか確認。目安は中間あたりです。

もし少なければオイルをつぎ足し、多ければ専用シリンジなどで抜いて調整してください。

さらにボルト類からのオイル漏れがないか確認を行ってください。

最後にエンジンを2〜3分かけてから再度オイル量を点検し、基準内に収まっていれば作業完了です。

10.オイル循環を確認(オイルプレッシャー点検)

オイルを入れたら、エンジン内部に正しく循環しているか確認します。

  • エンジン上部のオイルチェックボルト(12㎜)を緩める(外さずに緩めるだけでOK)
  • エンジンをアイドリング状態にし、オイルがにじんでこればオイルプレッシャーは問題ありません。
  • エンジンを停止して、オイルチェックボルトを規定トルクで締めてください。
  • オイルチェックボルトの規定トルク:18Nm
右側のエンジン上部に、オイルチェックボルトがあります。
緩めてエンジンをかけ、画像のようにオイルがにじんでこればオイルプレッシャー点検完了です。

※ アイドリング状態で、1分経過してもオイルがにじんで来なければ、即座にエンジンを停止し、オイルの漏れやオイルポンプの損傷がないかを確認してください。
原因がわからない場合は無理せず、バイク屋さんに相談してください。

11.アフターケア

作業後は締め忘れがないか必ず確認。
走行後に再度オイル量や漏れを点検し、減っていれば継ぎ足しましょう。

まとめ

今回は、SR400のオイル交換手順を詳しく解説しました。

自分でオイル交換を行うと、愛車への理解も深まり整備の楽しさも味わえます。
ただし、不安がある場合は無理をせずショップに依頼しましょう。

そして最後に廃オイルは必ず自治体ルールに従って処分してください。環境への配慮もライダーの大事な心得です。