SR400純正ステップダンパーを徹底解析!寸法測定で見えてきた設計の工夫
第2回はこちら↓
目次
SR400ステップダンパー自作計画 第3回

SR400の振動を少しでも軽減できないか――。
そんな疑問から始まった、純正ステップダンパーの自作計画。
この企画では、純正ダンパーの調査から始まり、材料選定、試作品の製作、実車テストまでを段階的に検証していく予定です。
前回の記事では、純正ダンパーの硬度を測定し、ショアA硬度は約61という結果になりました。
さらに材料についても調査を進めた結果、現在は信越シリコーンのKE-1600を候補材料として選定し、モノタロウで注文しています。
しかし、残念ながら現在は納期遅延により到着待ちの状態です。
そこで今回は、その待ち時間を利用して、純正ダンパーそのものをさらに詳しく解析してみることにしました。
今回は実際に車体からステップを取り外し、
- ダンパー本体の寸法
- ステップ取付部の寸法
- 締め付け時の変形
- 純正構造の特徴
などを調査していきます。
単純に寸法を測るだけではなく、
「ヤマハはなぜこの形状にしたのか?」
という視点でも考察していきます。
これまでの開発経過
現在までの開発状況は以下のとおりです。
第1回
- ステップダンパー自作計画スタート
第2回
- 純正ダンパーの硬度・寸法・重量測定
- シリコン材料の調査・選定
第3回(今回)
- ステップ取付部の寸法測定・構造分析
本来であればKE-1600が届き次第、試作品製作へ進む予定でしたが、納期が遅れているため、その間に純正部品の調査を進めることにしました。
試作品を作る前に純正品を徹底的に調べておけば、後から比較もしやすくなります。
ダンパーの寸法を測定

まずは前回測定したダンパー単体の寸法ですが、
測定結果は以下のとおりでした
| 項目 | 測定値 |
| 全長 | 29mm |
| 胴体部長さ | 23mm |
| 外径 | 20mm |
| フランジ外径 | 26mm |
| フランジ厚 | 3mm |
| 穴径 | 約12mm |
| 重量 | 8.78g |
| 硬度(前回測定) | 約61A |
純正ダンパーを分解

今回は実際に私のSR400からステップを取り外しました。
ちなみに、ステップの脱着方法については別記事で詳しく解説しています。
ダンパー交換やステップ脱着を行いたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
ステップを取り外すと、
- ステップボルト
- ステップナットとワッシャー
- ダンパーワッシャー
- ゴムダンパー
- ステップ本体
というシンプルな構造になっています。
構造だけを見ると非常に単純ですが、実際に細かく測定してみると、純正ならではの工夫が数多く見えてきました。
ステップ取付部の寸法も測定

続いて、車体側の寸法も測定しました。
測定した結果、フレーム幅は約23mmでした。
さらに、ステップボルトを規定トルクまで締め付けた状態では、ダンパーワッシャー間の距離は約26mmとなります。
つまり、
ダンパー全長29mm
↓
締付後26mm
となり、ダンパー全体では約3mm圧縮される設計になっていることが分かりました。
単純なゴムブッシュに見えていましたが、実際には締め付け量まで考えて設計されているようです。
圧縮されるのはフランジ部分

さらに測定結果を整理すると、面白いことが分かりました。
ダンパー本体(胴体部)の長さは23mm。
これはフレーム幅とほぼ同じ寸法です。
つまり、ボルトを締め付けても胴体部分はほとんど圧縮されません。
実際に圧縮されるのは、両端にあるフランジ部分です。
3mmあったフランジは、締め付け後には約1.5mm程度まで圧縮される計算になります。
この構造を見ると、単純にゴム全体を押し潰しているのではなく、フランジ部分を弾性体として利用して振動を吸収しているようにも感じられました。
ステップボルトの径も測定してみた

さらに、ステップダンパーの中心を通るステップボルトのストレート部分の外径も測定してみました。
測定結果は約11.9mmでした。
一方、前回測定した純正ステップダンパーの内径は約12.0mmです。
つまり、両者の差はわずか約0.1mmしかなく、ほとんど隙間のない状態で組み付けられていることが分かりました。
この寸法であれば、ダンパーがガタつくことなく位置決めできる一方で、ゴムがきつすぎて組み付けられないということもありません。
おそらく純正では、組み付け性とガタ防止のバランスを考え、約0.1mm程度のクリアランスを設けているのでしょう。
このような細かな寸法設定も、長年改良を重ねてきた純正部品ならではの工夫なのかもしれません。
今回の測定結果から、自作ダンパーを製作する際も、内径は純正と同じ約12.0mmを目標寸法として設計を進める方向性が定まりました。
ゴムは外側へ広がって固定される

さらに、実際に使用していた純正ダンパーを観察すると、新たな発見がありました。
締め付け後のフランジは、ダンパーワッシャーの内側に収まるのではなく、外側へ押し出されるように変形しています。
ゴムは圧縮されても体積がほとんど変わらないため、押し潰された分だけ横方向へ逃げます。
その結果、このような変形になっているのでしょう。
つまり、試作品を作る際には硬度だけを合わせれば良いわけではなく、この変形状態も純正品に近付ける必要があるのではないかと考えます。
今回の観察は、自作ダンパーを製作するうえで非常に参考になる結果でした。
フレーム側にも工夫があった

フレーム側も詳しく確認してみました。
単純な平面ではなく、実際には穴の周囲が少し盛り上がった形状になっています。
この形状によって、ダンパーワッシャーが自然に位置決めされる構造?になっているのだと考えます。
このような細かな工夫を見ると、
- フレーム
- ダンパーワッシャー
- ゴムダンパー
- ステップブラケット
これらを個別の部品としてではなく、一つの防振ユニットとして設計していることが伝わってきます。
純正部品は見た目以上に奥が深く、43年以上にわたって基本設計を大きく変えることなく生産され続けてきたSR400だからこそ、このような細かな工夫が随所に盛り込まれているのだと感じました。
今回分かったこと

今回の測定で分かった内容をまとめます。
- フレーム幅は23mm
- 締め付け後は26mmになる
- フランジは約3mmから約1.5mmまで圧縮される
- ステップボルトのストレート部分の径は11.9mmある
- ゴムは外側へ広がるように変形する
- フレーム側にも位置決め用の段付き形状?がある
今回の調査によって、単純に硬度を再現するだけでは純正ダンパーには近付けないことが分かりました。
寸法や変形状態まで含めて再現することが、純正に近い性能を実現するためのポイントになりそうです。
次回予告
現在注文している信越シリコーン「KE-1600」は納期が遅れているため、到着次第いよいよ試作品の製作へ進みます。
次回は、
- テストピースの製作
- 硬度測定
- カタログ値との比較
- 後硬化(エージング)による硬度変化の確認
を行う予定です。
果たしてKE-1600は純正ダンパーに近い性能を再現できるのでしょうか。
自分自身も非常に楽しみです。
引き続き試行錯誤の様子を記事にしていきますので、ぜひ次回もご覧ください。