【SR400】デコンプレバーの遊び調整方法|点検・規定値・作業手順を解説
皆さんこんにちは。
今回は SR400ファイナルエディションのデコンプレバーの遊び量点検と調整作業手順 をわかりやすく解説していきます。
突然ですが、SR400 のデコンプレバーにも 適切な遊び量(5.0〜10.0mm) があることをご存じでしょうか?
クラッチレバーやスロットルワイヤー、フロントブレーキレバーの遊び調整は意識されがちですが、デコンプレバーは普段あまり気にせず乗っているオーナーも多い部分です。
この記事では、意外と見落としがちな SR400のデコンプレバーの遊び量点検方法と調整手順を、写真付きでわかりやすく解説します。
この機会に、ご自身の SR400 のデコンプレバーが正しく調整されているか、ぜひチェックしてみてください。
正しい遊び量に調整することで、本来のデコンプレバーの操作感を維持でき、安心して SR ライフを楽しめます。
それでは早速、作業方法を見ていきましょう。
※作業は自己責任となります。整備に自信のない方や初心者の方は、無理をせずショップへ依頼することをおすすめします。
デコンプレバーの遊び調整を始める前に知っておきたいこと

デコンプレバーの遊び量は、エンジンを圧縮上死点に合わせた状態で点検・調整します。
そのため、フライホイールの「T1」マークを確認できるよう、左側のクランクケースカバーを取り外して作業を行います。
また、ガスケットが破損する可能性もあるため、あらかじめ新品のクランクケースガスケット(3GW-15451-00)を用意しておくと安心です。
ここでは、デコンプレバーの規定遊び量や、調整が必要になるケースについて解説します。
デコンプレバーの規定遊び量

SR400のデコンプレバーの規定遊び量は5.0~10.0mmです。
遊び量は、ハンドルを左いっぱいまで切り、エンジンを圧縮上死点に合わせた状態で測定します。
デコンプレバーを自然な位置から、レバー先端を軽く動かし、抵抗を感じ始めるまでの移動量を金尺やスケールなどで測定してください。
※遊び量は必ずレバー先端で測定してください。測定する位置によって移動量が変わるため、規定値との比較はレバー先端を基準とします。
遊び量が多すぎる・少なすぎるとどうなる?

デコンプレバーの遊び量が適正でないと、デコンプ機構が正常に作動しないおそれがあります。
遊びが多すぎる場合
- デコンプ機構が十分に作動しない
- キック時に圧縮が抜けにくくなる
遊びが少なすぎる場合
- デコンプ機構に常に力が掛かる
- デコンプ機構が正常に戻らなくなるおそれがある
デコンプレバーの遊び調整が必要なタイミング

次のような場合は、遊び量を点検・調整しましょう。
- デコンプレバーケーブルを交換したとき
- デコンプレバーケーブルを脱着したとき
- 遊び量が規定値から外れているとき
- 操作感に違和感があるとき
- 定期点検やエンジンメンテナンス時
それでは、実際のデコンプレバー遊び量点検・調整手順を見ていきましょう。
準備する工具・用品
工具類
- トルクレンチ
- レンチ(10・19mm)
スパナ(8mm)
※8mmスパナは2本あるとよい。アジャスターの供回り防止に使用。モンキーレンチでも代用可
- ヘキサゴンソケット(5mm)(トルク管理のため必要)

- ヘキサゴンレンチ(5mm)
- ゴムハンマー(クランクケースカバーが固着していた際ににあると便利)

- 樹脂・木製製のヘラ等(ガスケットが固着している場合にあると便利)
※クランクケースの合わせ面を傷つけないよう、樹脂製などの柔らかいスクレーパーを使用してください。筆者は木製の棒を加工して使用しました
- プラグレンチ・プラグソケット(車載工具でも使用できますが、トルクレンチで締付トルクを管理できるプラグソケットがおすすめです)

- 金尺やスケール(遊び量の測定に使用)

- グローブ

- ウエス(汚れ対策)
ケミカル類
関連部品
- 左クランクケースカバーガスケット(3GW-15451-00)
楽天 Yahoo - 左クランクケースカバーボルト長(91314-06035)
楽天 Yahoo - 左クランクケースカバーボルト短(91314-06025)
楽天 Yahoo - 左クランクケースカバー(3GW-15411-00)
Amazon 楽天 Yahoo - 左クランクケースカバーダンパー(3HT-15326-00)
楽天 Yahoo
SR400のデコンプレバー遊び量点検・調整手順
デコンプレバーの遊び量を点検・調整するには 、圧縮上死点に合わせた状態で、ハンドルを左にめいっぱい切った状態にする必要があります。 上死点を正確に合わせるためにはクランクケースカバーを取り外す必要があるため、作業前にガスケット類を用意しておくと安心です。
①センタースタンドで車体を安定させる
- 平坦で安定した場所に車体を設置し、センタースタンドを使用して車体を安定させる

②ハンドルをめいっぱいまで左に切る
- デコンプレバーケーブルはハンドル角度で張り具合が変化するため、
基本はハンドル左切り状態で測定・調整を行います。
③クランクケースカバー(左)を開ける
- ヘキサゴンレンチ(六角5mm)で、ヘキサゴンボルト(長1+短4) を取り外す
右側中央のボルトだけ長いため、間違えないように保管すること
※対角線になるよう順番に緩めるのが基本


- ボルトを取り外したら、クランクケースカバーを開ける
※カバーを外す際はガスケットを破らないよう慎重に作業を行う
最初は固着して動かないことが多いため、無理に回そうとせず、ゴムハンマーなどで軽くたたいて緩めるようにするとよいです

- ガスケットを取り外す。
ガスケットが固着している場合は、プラスチックや木製のヘラ・スクレーパーなど、金属面を傷つけない工具を使用して慎重に剥がす。

※ガスケットが破損した場合は必ず新品へ交換してください。密閉性が失われ、オイル漏れや水分・異物の侵入によるエンジントラブルの原因となります。
④スパークプラグを外す
今回は、スパークプラグの脱着手順を簡略化して紹介しています。
スパークプラグ脱着の詳しい手順は別記事で解説していますので、参考にしてください。↓
- スパークプラグキャップを引き抜いて取り外す


- スパークプラグをソケットレンチやソケットで反時計回りに回して取り外す


⑤フライホイールを回して圧縮上死点にする

フライホイールのT1マークをクランクケース側の合いマークに合わせることで、ピストンが上死点にある位置を確認できます。
ただし、SR400は4ストロークエンジンのため、クランクシャフトが2回転する間に「吸気→圧縮→燃焼・膨張→排気」の4工程を行います。そのため、T1マークとクランクケース側の合いマークが一致する位置は、圧縮上死点と排気上死点の2パターンがあります。
デコンプレバーの遊び量を点検・調整する際は、圧縮上死点に合わせる必要があります。
- プラグ取付穴を指で軽く塞いだ状態で、レンチ(19mm)を使用し、フライホイールを反時計回りにゆっくり回します。


- フライホイールを反時計回りに回していくと、圧縮工程ではプラグ取付穴から空気が押し出され、指に圧力を感じる。
空気が押し出されていることを確認したら、そのままフライホイールをゆっくり回し、T1マークをクランクケース側の合いマークに合わせます。
- 空気が押し出された直後にT1マークと合いマークが一致した位置が、圧縮上死点です。

ポイント
T1マークだけを見て位置を合わせると、圧縮上死点と排気上死点を区別できません。
「プラグ穴から空気が押し出される」→「T1マークと合いマークを一致させる」という順番で確認することで、圧縮上死点を確実に判断できます。
⑥デコンプレバーの遊び量を点検
- 再度、圧縮上死点に合わせた状態で、ハンドルを左にめいっぱい切った状態になっているか確認


- デコンプレバーに触れず自然な位置から、レバー先端を軽く動かす。抵抗を感じ始めるまでの移動量を、金尺やスケールなどで測定する。
※遊び量は必ずレバー先端で測定してください。測定する位置によって移動量が変わるため、規定値との比較はレバー先端を基準にします。
SR400デコンプレバーの規定遊び量:5.0mm~10.0mm

- 規定値外だった場合は、調整を行う
⑦デコンプレバーケーブルの調整
筆者のSR400は社外品のデコンプレバーケーブルを使用しているため、実車写真と純正ケーブルの写真を使い分けて解説しています。
- デコンプケーブルのアジャスター部を覆っているゴムチューブをずらし、アジャスターを露出させる


- オープンスパナ(8mm)でデコンプレバーケーブルのロックナット(A)を緩める
※ロックナットが硬い場合は、ダブルレンチでアジャスター側を固定して供回りを防止しながら緩めるとよい。
- オープンスパナ(8mm)でアジャスティングナット(B)を回して、規定値になるように調整する

アジャスティングナットを締め込むと遊びは大きくなり、緩めると遊びは小さくなります。
遊び規定値:5.00mm~10.0mm - 規定値に収まったら、ダブルレンチでアジャスティングナット(B)を固定して供回りを防止しながら、ロックナット(A)を締め付ける。

- 再度デコンプレバーの遊び量を測定し、規定値に収まっていることを確認。問題がなければ、ゴムチューブをアジャスター部に戻す。


⑧調整後、クランクケース(左)を閉じる
- クランクケースとケースカバーの合わせ面に残った、汚れや古いガスケットをきれいに除去。
※プラスチック製や木製のヘラ・スクレーパーなどを使用し、合わせ面を傷つけないよう注意してください。

- ガスケットにエンジンオイルを薄く塗布しておく。

※ガスケットが破れている場合は、必ず新品に交換すること - ガスケットを忘れずに取付け、クランクケースカバーをクランクケースへセット


- ヘキサゴンボルト(六角5mm)×5本で規定トルクで締め付ける
※右側中央のボルトのみ長いため注意。最初は手でねじ込み、確実にかみ合っていることを確認してから、対角線順に締め付ける。
規定トルク:10Nm



- ガスケットがずれていないことを確認しながら取り付けること
⑨スパークプラグを取り付ける
今回は、スパークプラグの脱着手順を簡略化して紹介しています。
スパークプラグ脱着の詳しい手順は別記事で解説していますので、参考にしてください。↓
- スパークプラグを手締めでゆっくり回し入れ取り付け、規定トルクで締め付ける
規定トルク:25Nm

- スパークプラグキャップを確実に差し込み、取り付ける

⑩最終確認

作業完了後は、以下の項目を確認してください。
- デコンプレバーの遊び量が規定値(5.0~10.0mm)に収まっている
- デコンプレバーの操作がスムーズで、レバーが確実に戻る
- クランクケースカバーのヘキサゴンボルトが規定トルク(10N・m)で締め付けられている
- スパークプラグが規定トルク(25N・m)で締め付けられ、プラグキャップが確実に取り付けられている
- エンジン始動後、クランクケース周辺からオイル漏れがない
- エンジンが正常に始動し、デコンプレバーが正常に作動する
問題が無ければ、SR400のデコンプレバーの遊び量点検と調整作業完了です。
関連トルクまとめ
- クランクケースカバーのヘキサゴンボルト:10Nm
- スパークプラグ:25Nm
まとめ

今回は SR400ファイナルエディションのデコンプレバーの遊び量点検と調整作業手順 を解説しました。
デコンプレバーの遊び調整は、クランクケースを開ける必要があるため少し手間はかかりますが、手順どおりに作業すれば決して難しい整備ではありません。
今回はクランクケースを開けるため、タペットクリアランス調整やカムチェーンテンショナー調整なども同時に行うと作業効率が良くおすすめです。
初心者の方や作業に不安がある場合は、無理をせずショップへ依頼することも検討してください。
正しい遊び量を維持して、これからも快適なSRライフを楽しみましょう。
それでは良きSRライフを。
関連部品
- 左クランクケースカバーガスケット(3GW-15451-00)
- 左クランクケースカバーボルト長(91314-06035)
- 左クランクケースカバーボルト短(91314-06025)
- 左クランクケースカバー(3GW-15411-00)
- 左クランクケースカバーダンパー(3HT-15326-00)


