SR400ステップダンパー自作計画 第4回|KE-1600の性能を検証してみる
第3回はこちら↓
SR400ステップダンパー自作計画 第4回

SR400の振動を少しでも軽減できないか――。
そんな疑問から始まった純正ステップダンパーの自作計画。
前回の記事では、実際に車体からステップを取り外し、純正ダンパーの寸法や構造、取り付け時の変形について調査しました。
今回は、ついに候補材料である信越シリコーン「KE-1600」が到着。
実際にテストピースを製作し、硬度・弾力・耐久性・圧縮による変化などを検証していきます。
今回使用する材料・工具はこちらです。
- KE-1600(主剤・硬化剤)
- デジタルスケール
- 紙コップ
- ノギス
- シリコンスプレー(離型用)
- ステンレスカップ(テストピース用)
なお、今回はまだ後硬化用のオーブンを準備できていないため、常温硬化(前硬化)の状態で検証します。
これまでの開発経過
現在までの開発状況は以下のとおりです。
第1回
- ステップダンパー自作計画スタート
第2回
- 純正ダンパーの硬度・寸法・重量測定
- シリコン材料の調査・選定
第3回
- ステップ取付部の寸法測定・構造分析
第4回(今回)
- KE-1600の検証(前硬化)
KE-1600の混合比と使用方法

KE-1600は、主剤「KE-1600」と硬化剤「CAT-1600」を混ぜて使用する二液型シリコーンゴムです。
混合比は重量比10:1。
つまり、
| 主剤 | 硬化剤 |
|---|---|
| 10g | 1g |
| 20g | 2g |
| 40g | 4g |
| 50g | 5g |
という割合になります。
今回はテストピース製作のため、
主剤40g+硬化剤4g
で作成します。
硬化条件は23℃で24時間。
今回は室温約25℃の環境で硬化させました。
KE-1600を開封・撹拌してみる


まず主剤を開封。
色は透明感のない白色です。
実際にヘラで混ぜてみると、想像以上に硬い材料でした。
カタログ粘度は170Pa・sですが、感覚としては「硬めの溶けたチーズ」のような状態。
ヘラを離すと糸を引くほど粘度があります。
続いて硬化剤。
こちらは青色で、主剤と比べるとかなり柔らかく、ガムシロップより少し硬い程度でした。

主剤40gに対して硬化剤4gを加え、しっかり撹拌します。
しかし、硬化剤を混ぜても粘度はそれほど下がらず、全体的にかなり硬い材料という印象でした。
テストピースへ注型

今回は離型性を確認するため、2種類のカップを用意しました。
- シリコンスプレーを塗布したもの
- 何も塗布しないもの
結果として、注型作業は想像以上に大変でした。
KE-1600は粘度が高いため、流れにくく、内部に気泡も入りやすい印象です。
特にステップダンパーのような小さな形状を製作する場合、気泡対策が重要になりそうです。
注型後、24時間硬化させます。
硬化後のKE-1600を検証
硬化後、テストピースを脱型して各項目を確認しました。
検証内容は以下です。
- 離型性
- 硬度
- 寸法
- 表面状態
- 切削性
- 気泡
- 弾力
- 耐久性
離型性

結果として、コンプレッサーとエアガンを使用することでシリコンスプレーあり・なしの両方とも簡単に脱型できました。
また、シリコンスプレーによる硬化不良などもありませんでした。
今回の条件では、KE-1600は非常に離型しやすい材料という結果になりました。
硬度測定

ショアA硬度を測定します。
結果はこちら。
| 条件 | 表 | 裏 |
|---|---|---|
| 離型剤あり | 51.0A | 53.0A |
| 離型剤なし | 51.5A | 52.5A |
平均すると、
ショアA硬度52A
となりました。
カタログ値45Aより少し硬い結果です。
純正ステップダンパーは約61Aなので、前硬化状態では純正より柔らかい結果となりました。
ただし、触った感触は想像よりかなりしっかりしており、高強度タイプらしい硬さがあります。
切削性・耐久性


カッターで切断してみましたが、かなり硬く切りにくいです。
約11mm厚のテストピースでも、何度か刃を入れてようやく切断できました。
一方、引っ張りやねじりには非常に強く、手で力を加えても裂けやひび割れは発生しませんでした。
高強度タイプという名前通り、強度の高さを感じる結果です。
気泡・表面状態

気泡については、注型時の印象より少ない結果でした。
内部には約0.3mm程度の小さな気泡が少し残りましたが、大きな気泡はありませんでした。
ステップダンパーとして使用する場合、この程度なら問題ない可能性があります。
ただし、本型を製作する場合は脱泡方法が重要になりそうです。
KE-1600圧縮実験


続いて、純正ダンパーの取り付け時の変形を参考に圧縮実験を行いました。
純正ダンパーはフランジ部分が約3mmから1.5mmまで圧縮されます。
今回はキャリパーピストンツールを使用して圧縮し、KE-1600のテストピース(厚さ11.8mm)を約6.4mmまで圧縮し、変化を確認しました。
結果はこちらです。
| 経過 | 厚み | 硬度 |
|---|---|---|
| 初日 | 11.8mm | 52A |
| 1日 | 11.3mm | 51A |
| 2日 | 11.1mm | 52A |
| 3日 | 10.9mm | 51.5A |
| 4日 | 10.8mm | 53.5A |
| 1週間 | 10.8mm | 52.5A |
結果として、約4日で厚みは約1mm減少。
その後は変化せず、硬度も52~53A程度で安定しました。
つまり、
圧縮によって厚みは変化したが、硬度には大きな影響がない
という結果になりました。
今回分かったこと

今回のKE-1600検証で分かったことをまとめます。
- 前硬化状態の硬度は約52A
- カタログ値45Aより少し硬かった
- 純正ダンパー61Aよりは柔らかい
- 前硬化でも十分な強度がある
- 引っ張りやねじりに強い
- 気泡は想像より少なかった
- 離型性は良好だった
- 切削性は悪く、加工より型成形向き
- 圧縮すると約4日で厚みが約1mm減少した
- 圧縮後も硬度はほぼ変化しなかった
今回の結果から、KE-1600は自作ステップダンパーの材料候補として十分可能性があることが分かりました。
特に前硬化状態でも高い強度があり、耐久性についてはかなり期待できそうです。
一方で、圧縮による変形や気泡対策など、まだ確認すべき点も残っています。
次回予告|KE-1600を150℃で後硬化してみる
次回はいよいよKE-1600の後硬化実験です。
KE-1600は150℃で30分加熱することで、硬度約70Aになるとされています。
そこで、
- 本当に70Aまで硬くなるのか
- 寸法変化はあるのか
- 弾力はどう変化するのか
- 前硬化と後硬化、どちらが純正ダンパーに近いのか
を検証します。
前硬化では52AだったKE-1600。
150℃加熱によって、どのような変化が起こるのでしょうか。
次回、後硬化実験へ続きます。
